君が導く約束の場所

 

直人に依頼されたXレックスの掃除を終えて、なんとか追い出されずに新年を迎えることができて、アヤセの年越し蕎麦を食べて、 じゃあ初詣に行こう!ということになったのは、極めて自然な流れだ。
竜也としては、20世紀の習慣を体験してほしい、という気持ちがあった。

だから、神社までの道のりが長い石段だったのは単なる偶然で、自分がユウリの後から石段を登っているのも単なる偶然で、 短いスカートから伸びているユウリの綺麗な足を目の当たりにしているのも単なる偶然なんだ。
単なる偶然ではあるけれど、夜が深まり気温が下がって底冷えしているから、 細い足が寒そうでいつも以上に白く見えて、ちょっと目のやり場に困る。

思えば初めて会った日、倒れていたユウリに声をかけたらいきなりミニスカートのまま蹴りを入れられたのだった。
突然女の子に蹴られるとは思わなかった。
しかもその女の子がこんなに強くて、こんなにしっかりしていて、こんなに自分に厳しい女の子だとは思わなかった。
そしてこんなに華奢で、こんなに可愛らしくて、こんなに愛しい女の子だとも思わなかった。

あの日いつものジョギングのコースをちょっとだけ変えた。
そのことに深い意味はなかったけど、そのおかげで時間飛行体の煙を見つけた。
そのおかげでユウリに出会うことができた。

自分の未来は自分で決める。
そう思ってる。
だけどあの時ユウリに出会えたことは、俺が決めたことじゃなかった。

あの時、俺はどうしてジョギングのコースを変えてあの場所に行ったんだろう。



「まだかよ。随分長い階段だな」
「ドモンさん、疲れちゃったんですか」
「見かけ倒しで体力ないからな」
「なんだと!」
「あ! あそこじゃないですか! ドモンさん、もうすぐですよ」

「竜也」
ユウリが突然振り向いたので、ドキっとする。
「あ、もう少しだね。ユウリ疲れた?」
ユウリの足に見惚れてたなんて言えない。
ユウリは笑って首を横に振った。
「大丈夫よ」
ユウリの笑顔は優しい。
会えてよかった。会えて嬉しい。

「竜也」
ユウリの声を聞いたらなぜか不意に悲しくなる。
胸が締め付けられる。
ユウリ、俺たぶんユウリのこと……。


「竜也、お賽銭って絶対に必要なものなの?」
「え?」
「やっと家賃払えたのに。これ以上よけいなお金は使いたくないのよ」
「……」


合理的なところもユウリの魅力だ。






 

 


今年もよろしく。

 

 

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