「……しようか?」
そう口にしたら、ドモンさんは私を凝視したまま固まってしまった。
ああ、どうしよ。そんなふうにギョッとした顔のまま黙ってられちゃ困るよ。
こういうことは一度口にしたら後へは引けないものだし。
ドモンさんは結構古風だからなあ。
こんなこと言われるの、嫌だった?
1000年先の未来の人に古風だなんていうのはおかしい。
ほんとは私よりずっとずーっと1000歳も(!)若いのだ。
だけど全然そんな気がしなくて、1000年のギャップなんて感じない。
優しくて、照れ屋で、いつも私のことを大事に思ってくれる。
こんなふうにお付き合いして、キスして、そしてそれ以上は進展しないんだけど、 そんなのもドモンさんらしくていいなあ、なんて思う。
一緒にいるだけで幸せだからこのままでもいい。
これからゆっくりお付き合いして、いっぱい時間を共にして、一緒に旅行なんかもしちゃったりして。
そうしてるうちに徐々にいろんなことが……。なんてね。
時々ドモンさんが未来から来ていることを忘れそうになる。
このままずっとこの時代にいてくれそうな気がする。
だけど……
そうはいかないんだよね。
「ずっとこのままだったらいいね」って言った時、ちょっぴり悲しそうな顔したよね。
見逃さなかったよ。
未来へ帰らないなんて、できないんだ。
ドモンさんはいつかは未来へ帰る人なんだ。
しかも「いつか」っていうのは遠い日じゃなくて、たぶんかなり近い日。
私も覚悟しなきゃいけない。
だから私たちには時間がない。
時間がないから何もしないんじゃなくて、時間がないからこそ全部したいの。
もしかしたら焦ってるのかもしれない。
だけど、その結果どうなっても後悔なんて絶対しないよ。
それじゃ駄目?
ドモンさんは後悔する?
ドモンさんはまだ固まったままで、私の言葉をどう受け止めたのかわからない。
恥ずかしい。
女の子にこんなこと言われると冷めちゃったりするのかなあ。
だけど、それでも言わずにはいられないの。
「……私は、いいよ?」