その口唇で、誓いを

 

部屋を出て行く直前に、ドアの前で振り向いて私を抱きしめる。
もう殆ど習慣と化していて、おそらくこの人にとっては何の意味もない抱擁。
私だって同じ。
この人に抱きしめられることは、挨拶みたいなものだ。
何も感じない。

だけど
もう何も感じないはずなのに
ちょっとだけ嬉しいと思ってしまう。
大きな腕にほっとする。
たぶん私は、大きな腕に抱きしめられることが好きなのだ。

初めて会った時、ちょっと竜也に似てる、なんて思った。
今思えば全然違う。
似ているのは背の高さと腕の太さぐらいだ。


竜也に抱きしめられたのは3回。
ロンダーズのゲンブが作った異空間から帰還した日。
ドルネロが死んだ日。
30世紀に帰って来た日。
あの暖かな思い出を忘れることはないだろう。

それなのに竜也の腕の感触はもう忘れてしまった。
遠い過去にお父さんやお母さんに抱きしめられた腕の感触をもう覚えていないのと同じように、竜也の腕も今では忘れてしまった。
忘れてしまった大切な記憶の代わりに、私の記憶に残るのは、今抱きしめてくれているこの人の腕の感触なのだろうか。


「じゃあ」
軽いキスの後、彼の身体が私から離れた。
「もう…」
ドアを開けようと向きを変えた彼の後姿に、声をかける。
自分の声が、少し震えてしまったような気がして、慌てて小さく息を飲み込んだ。
「もう終わりにしましょう」
よく考えて自分で決めて、やっと口に出した別れの言葉なのに、言った途端に胸が苦しくなる。

21世紀でロンダーズを追っていた頃とは、私はずいぶん変わってしまったかもしれない。
だけど、今でも思ってる。
21世紀で前を向いて生きているはずの竜也に負けないように、一生懸命生きたい。
そう思ってる。
だから

震えそうになる唇をギュッと噛んだ。






 

 


すみません。捏造しすぎでわけのわからない話になりました(汗)。
ユウリ、未来で辛い恋愛中。しかし一生懸命、前を向いているのです。

 

 

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